ハイハットは、いちばん長く踏み続けるシンバル
シンバルを買い足していくとき、クラッシュやライドから選びたくなる気持ちはよく分かります。派手ですし、音の変化も分かりやすいですから。
でも実際に叩いている時間で考えると、圧倒的に使用頻度が高いのはハイハットです。8ビートを刻んでいる間、右手はほぼずっとハイハットの上にありますし、左足も常に触れています。曲全体のノリを決めているのは、実はこの2枚だと思います。
それだけに、選び方で悩みやすいパーツでもあります。この記事では、サイズ・重さ・トップとボトムの関係という3つの軸で整理していきます。
サイズ:まず14インチが基準
DrumNaviに収録しているハイハット14モデルを見ると、14インチが12モデル、13インチが2モデルという内訳です。実売の主流がどこにあるかがはっきり出ています。
| サイズ | 傾向 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 13インチ | 軽くクリスピー、反応が速い | ジャズ、細かい刻み、小音量 |
| 14インチ | 最も汎用的。音量と粒立ちのバランスが良い | ほぼすべてのジャンル |
| 15インチ以上 | 重く豊かで、音量が出る | ロック、大箱、ラウド系 |
最初の1組なら、迷わず14インチでいいと思います。サイズは「音の好み」より先に「対応範囲」で決めるパーツだからです。13インチや15インチは、14インチを使い込んで「もう少しこうしたい」が出てきてからで遅くありません。
なお、口径が1インチ違うと想像以上に音のキャラクターが変わります。試奏できるなら、14インチと13インチを続けて叩き比べてみると差がよく分かると思います。
重さ:カタログに書かれていない最重要スペック
サイズと同じくらい音を左右するのが**重さ(厚み)**です。ところがこれは製品名に書かれていないことが多く、見落とされがちです。
- 薄め(Thin / Light):軽く開き、シャリっとした余韻が残る。ジャズやアコースティック向き
- 中間(Medium):最も汎用的。クローズもオープンも扱いやすい
- 厚め(Heavy / Rock):音圧が出て、クローズ時の「チッ」が硬くタイト。ロック・メタル向き
バンドの中で音が埋もれるという悩みの多くは、実はサイズではなく重さで解決します。ドラム単体で聴くと厚めのハイハットは硬く感じますが、ギターとベースが入ると途端にちょうどよくなる、ということがよくあります。
逆に、家での練習や小音量の現場が中心なら、薄めのほうが表情を出しやすいと思います。
トップとボトムは役割が違う
ここは意外と知られていないのですが、ハイハットの上の1枚(トップ)と下の1枚(ボトム)は別物として設計されています。
- トップ:薄め。叩かれる側で、レスポンスと音色を担当
- ボトム:厚め。土台として鳴りを受け止め、クローズ時の密着感を作る
そのため、ペアで売られているものを組で使うのが基本です。中古で1枚だけ安く売られているのを見かけることがありますが、トップ同士・ボトム同士を組み合わせると、狙った音になりにくいので注意してください。
ボトムに波打ち加工(ウェーブ)が入っているモデルがありますが、あれはトップとの間の空気を逃がして、いわゆる「エアロック」を防ぐための工夫です。
合金と価格帯
シンバル全般に共通する話ですが、合金で価格とキャラクターが大きく変わります。詳しくはシンバルの種類・選び方でも解説しています。
DrumNavi収録14モデルの実勢価格は**¥5,500〜¥105,000、中央値は¥19,500**でした。かなり幅がありますが、おおむねこう分かれます。
| 価格帯 | 素材の傾向 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 〜¥15,000 | B8・ブラス系 | 入門。明るくストレートな音 |
| ¥15,000〜¥40,000 | B8上位〜B20 | 中核。ここから表現力が明確に上がる |
| ¥40,000〜 | B20・ハンドハンマード | プロ仕様。倍音が複雑で音が「育つ」 |
最初の1組としては、¥15,000〜¥25,000あたりが最もバランスが良いと思います。入門クラスとの差がはっきり体感できて、かつ長く使える帯です。
※価格は調査時点のものです。最新の情報はシンバルの全モデル一覧でご確認ください。
スタンドも音に効いている
見落とされがちですが、ハイハットスタンドの性能はハイハットの音そのものに影響します。クラッチの締め具合、スプリングの強さ、ボトムカップの角度調整——このあたりが決まっていないと、せっかくのシンバルが本来の音になりません。
特にツインペダルを使う場合は、左足のペダルと脚が干渉しない2本脚タイプが必要になることがあります。この話はドラムハードウェアの選び方にまとめました。
よくある質問
Q. トップとボトムでメーカーを混ぜてもいい?
物理的には使えますし、意図的に混ぜるプロもいます。ただし各社はペアでの鳴りを前提に設計しているので、最初の1組は同一シリーズのペアをおすすめします。
Q. 中古のハイハットは買ってもいい?
状態を確認できるならありだと思います。見るべきは、ひび割れがないか、エッジが変形していないか、そしてトップとボトムが正しい組み合わせかの3点です。ひびが入ったシンバルは修理できません。
Q. 13インチと14インチ、両方持つ意味はある?
あります。ジャンルによって使い分けられますし、13インチはサブのハイハット(Xハット)としてセットに追加する使い方もできます。ただし優先順位としては、2組目より先にクラッシュやライドを揃えるほうが演奏の幅は広がると思います。
ハイハットは地味に見えて、実はドラムセットの中で最も「その人らしさ」が出る場所だと思います。同じ8ビートでも、ハイハットの開き加減ひとつで印象がまるで変わりますから。
自分の条件に合う1組を絞り込みたいときは無料の機材診断もぜひ試してみてください。DrumNaviでは引き続き、上達に役立つ情報をお届けします!