ライドは「刻み続ける」ためのシンバル
クラッシュが一瞬のアクセントだとすれば、ライドは長い時間ずっと刻み続けるシンバルです。ジャズはもちろん、ロックでもサビでライドに移る展開はよくありますし、そこで曲の景色が変わります。
DrumNaviに収録しているシンバル63モデルのうち、ライドは26モデルと最多です。クラッシュ18・ハイハット14を上回ります。それだけ選択肢が多く、そして迷いやすいということでもあります。
この記事では、サイズ・重さ・叩く場所という3つの軸で整理していきます。
サイズ:20インチが標準、22インチは「余裕」
収録26モデルのサイズ分布を見ると、はっきりした傾向が出ています。
| サイズ | 収録数 | 傾向 |
|---|---|---|
| 18インチ | 1 | 小口径。反応が速く、クラッシュ的にも使える |
| 20インチ | 16 | 最も標準的。汎用性が高い |
| 21インチ | 1 | 20と22の中間。ジャズで好まれることも |
| 22インチ | 8 | 音量と伸びに余裕。ロック・大箱向き |
最初の1枚は20インチで問題ありません。 収録の6割超がこのサイズですし、刻みの粒立ちと音量のバランスが最も取りやすい口径です。
22インチは、大きいぶん振動が長く続き、音に余裕が出ます。バンドの音量が大きい環境では埋もれにくい一方、口径が大きいぶん立ち上がりがややゆっくりで、細かい刻みでは輪郭がぼやけることもあります。
ここは好みが分かれるところで、「大きいほうが良い」わけではないという点は押さえておいてください。
重さ:刻みが濁るかどうかを決める
ライドで最も失敗しやすいのが、実は重さの選択だと思います。
ライドは同じ場所を連続で叩き続けるため、倍音が溜まりやすいのです。薄いライドで速い刻みを続けると、音が重なって「ワーン」と濁ってきます。これはシンバルが悪いのではなく、用途と重さが合っていません。
- 薄め(Thin / Crash-Ride):クラッシュとしても使える。ジャズや小音量向き。速い刻みでは濁りやすい
- 中間(Medium):最も汎用的。刻みの粒が立ち、必要なら軽くクラッシュもできる
- 厚め(Heavy / Ping):一打ごとの輪郭が明確。大音量でも刻みが埋もれない。ジャズには硬すぎることも
ロックで刻みに使うなら中間から厚め、ジャズで表情を出したいなら薄めから中間、というのが出発点になると思います。
叩く場所で3つの音が出る
ライドが他のシンバルと決定的に違うのは、叩く場所によってまったく別の音が出ることです。1枚で3役こなせます。
ボウ(中央部)
エッジとベルの間の平らな面です。リズムを刻む基本ポジションで、チップで叩くと「チンッ」というクリアな音が出ます。ライドの主戦場です。
ベル(中心の盛り上がり)
中央の膨らんだ部分。明るく明瞭な鐘の音が出ます。ラテンやフュージョンでアクセントとして多用されますし、ロックのサビでも効きます。ショルダー(スティックの側面)で叩くのが一般的です。
エッジ(縁)
クラッシュに近い派手な音が出ます。ただしライドはクラッシュほど早く開くようには作られていないので、常用するとシンバルへの負担が大きくなります。
試奏するときは、この3か所を必ず叩き比べてください。 カタログスペックでは絶対に分からない部分ですし、同じ価格帯でもベルの鳴り方はメーカーごとにかなり違います。
価格帯の目安
収録26モデルの実勢価格は**¥12,500〜¥108,000、中央値¥67,500**でした。
参考までに、同じシンバルでも種類によって価格の重心はかなり違います。
| 種類 | 収録数 | 中央値 |
|---|---|---|
| ライド | 26 | ¥67,500 |
| クラッシュ | 18 | ¥20,000 |
| ハイハット | 14 | ¥19,500 |
ライドの中央値がクラッシュの3倍以上あるのは、口径が大きいぶん材料費と加工の手間がかかるためです。裏を返すと、ライドは1枚あたりの投資額が大きくなりやすいパーツだということです。
最初の1枚としては、¥15,000〜¥30,000のエントリー〜ミドル帯で十分だと思います。この帯にもB8合金の実用的なモデルが揃っています。そこから「ベルの音が物足りない」「刻みが濁る」といった不満が具体的に出てきたら、上位帯を検討するのが無駄のない進め方です。
※価格は調査時点のものです。最新の情報はシンバルの全モデル一覧でご確認ください。
買う順番としてのライド
シンバルを揃える順番でいうと、ハイハット → クラッシュ → ライドが一般的です。
理由は単純で、使用頻度の順だからです。ハイハットは常に使いますし、クラッシュがないとフィルインの締めができません。ライドがなくても、当面はクラッシュのボウを叩いて代用できます。
ただし、ジャズをやるなら順番は変わります。ジャズではライドがリズムの中心なので、優先度が一気に上がります。ジャズドラム入門でもその考え方に触れています。
ハイハット選びについてはハイハットの選び方にまとめました。
よくある質問
Q. クラッシュライドは「1枚で2役」ですか?
理屈のうえではそうですが、実際はどちらも中途半端になりやすいというのが正直なところです。クラッシュとして使うには重く、ライドとして刻むには薄い。セットを小さくまとめたい場合や、持ち運びを最優先する場合の選択肢と考えたほうがいいと思います。
Q. 20インチと22インチ、迷ったらどちらですか?
20インチです。汎用性が高く、収録モデルも圧倒的に多いので選択肢が豊富です。22インチは「音量が足りない」「もっと伸びが欲しい」という具体的な不満が出てからで遅くありません。
Q. ベルがよく鳴るライドの見分け方は?
ベルの大きさと厚みが目安になりますが、カタログでは判断できません。ベルを多用するなら、試奏時にショルダーで実際に叩いて確認してください。ベルが小さいモデルは、狙って当てるのも難しくなります。
Q. 中古のライドは?
ありだと思います。確認すべきはひび割れの有無で、特にエッジと、スタンドが通る中央の穴のまわりを見てください。この2か所は負担がかかりやすく、ひびが入ったシンバルは修理できません。
ライドは、1枚で3つの音を持っている珍しいシンバルです。買ったあとも「ここを叩くとこんな音が出るのか」という発見が続くと思います。
自分の条件に合う1枚を絞り込みたいときは無料の機材診断もぜひどうぞ。DrumNaviでは引き続き、上達に役立つ情報をお届けします!