ドラムヘッドで音はこんなに変わる!種類・素材・プロの選び方を徹底解説
コーテッドとクリア、1プライと2プライ、REMOアンバサダーからエンペラー・パワーストロークまで。ドラムヘッドの種類と音の違いをスティーヴ・ガッドや神保彰のセッティングとともに解説します。
「ヘッドを変えたらドラムの音が別物になった」
経験者なら一度は体験するこの感覚。実はドラムの音を決める要素として、シェル(胴)の素材と同じくらい、いやそれ以上にヘッドの種類が音に影響します。
同じドラムセットでも、ヘッドを交換するだけで音量・アタック・余韻・音の太さがガラッと変わります。この記事では、ヘッドの種類と音の違いを、世界的プロドラマーの実際のセッティングとともに徹底解説します。
ヘッドを決める3つの要素
ドラムヘッドの音は主に以下の3つの要素で決まります。
- プライ数(フィルムの枚数):1プライか2プライか
- 表面仕上げ:コーテッド(白・ザラザラ)かクリア(透明)か
- モデルの特性:ミュートリング内蔵・ドット追加など
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1プライ vs 2プライ──フィルムの枚数で音はどう変わる?
1プライ(1枚打面)
1枚のフィルムで作られた標準的なヘッドです。
音の特徴:
- 音の立ち上がりが速く、オープンで自然な鳴り
- 心地よい余韻(サステイン)がある
- 繊細なタッチにも敏感に反応する
- テンションに対するレスポンスが素直
スネアの打面やタムの打面として広く使われる、最もスタンダードな選択肢です。
代表モデル: コーテッド・アンバサダー、クリア・アンバサダー
2プライ(2枚打面)
2枚のフィルムを重ねた厚めのヘッドです。
音の特徴:
- 明るくパワフルで、アタック感が強い
- 余韻が1プライより短くコントロールしやすい
- 耐久性が高く、激しいプレイでも長持ち
- 大音量のバンドサウンドでも埋もれにくい
ロックやポップスの現場で多用される、パワー系のスタンダードです。
代表モデル: クリア・エンペラー
コーテッド vs クリア──表面仕上げで音色が変わる
コーテッドヘッド(Coated)
白くコーティングされ、表面がザラザラした質感のヘッドです。
音の特徴:
- 温かみのあるアタックと、深みのある余韻
- まろやかさと低域の太さを兼ね備えている
- ブラシ奏法にも対応(ザラザラした表面がブラシの音を活かす)
- ジャンルを選ばず幅広く使える「オールラウンドな音色」
スネアドラムやタムに張ることで、ヴィンテージ感のある温かいサウンドが得られます。スティーヴ・ガッドが愛用することでも知られ、世界のスタジオドラマーに長年支持されています。
クリアヘッド(Clear)
コーティングなしの透明なフィルムのヘッドです。
音の特徴:
- 明るく透明感のある余韻(サステイン)
- アタックがはっきりして抜けの良いサウンド
- コーテッドより音がオープンに広がる
- モダンでクリーンな音色
ロックやポップスのライブ・レコーディングで、シャープでクリアなサウンドを求める場合に選ばれます。
どちらを選ぶ?
| コーテッド | クリア | |
|---|---|---|
| 音色 | 暖かい・まろやか | 明るい・シャープ |
| サステイン | 深みがある | 透明感がある |
| ブラシ奏法 | ◎ 対応 | △ 不向き |
| 向いているジャンル | ジャズ・ポップス・オールラウンド | ロック・モダン系 |
| 初心者おすすめ | ◎ | ○ |
主要モデルの特徴と使い分け
アンバサダー(Ambassador)シリーズ ── 世界標準の定番ヘッド
最もポピュラーな1プライヘッドです。「ドラムヘッドの5A」とも言えるスタンダード中のスタンダードで、世界中のスタジオやライブ現場で使われています。
- コーテッド・アンバサダー:温かく深みのあるサウンド。スネア・タムのオールマイティな定番
- クリア・アンバサダー:明るくオープンなサウンド。タムやバスドラムのフロントヘッドに
- シルバードット クリア・アンバサダー:中心にシルバーフィルムを貼ったLudwig仕様。太いアタックと引き締まったサウンドが特徴
エンペラー(Emperor)シリーズ ── パワーと耐久性の2プライヘッド
アンバサダーの上位にあたる2プライヘッドです。
- クリア・エンペラー:アタック感が強く、パワフルなサウンド。ロック系タムの定番
- ヴィンテージAコーテッド(コーテッド・ダブルプライ):コーテッドの温かみと2プライのパワーを兼ね備えた神保彰も注目のモデル
ディプロマット(Diplomat)シリーズ ── 繊細な反応の薄型ヘッド
アンバサダーよりさらに薄い1プライヘッドです。張りの感度が非常に高く、繊細なタッチにも鋭く反応します。スネアのボトム(裏面)ヘッドとして使われることが多く、スティーヴ・ガッドも「次に試すつもり」と語るほど薄さと反応にこだわるドラマーが注目するモデルです。
パワーストローク3(Powerstroke 3)── バスドラムの定番
内側にリングミュートを内蔵したヘッドで、主にバスドラム用として圧倒的な人気を誇ります。
- ノーミュート(毛布などを入れない状態)でも違和感のないタイトでパワフルなサウンド
- クリア・スムースホワイト・エボニー・コーテッドなど豊富なバリエーション
- スティーヴ・ガッドや青山英樹もバスドラムに採用
ピンストライプ(Pinstripe)── 短いサステインとアタック重視のモデル
70年代後半〜80年代に流行したモデルで、サステインが短いサウンドが特徴です。
- 極端にテンションを緩めたローピッチでもシェルが鳴りやすい
- 強烈なアタック重視の図太いサウンド
- 青山英樹が比較検証で使用し、コーテッド・アンバサダーとの音の違いを実証
プロはどう使っている? 実際のセッティング
スティーヴ・ガッド(Steve Gadd)
YAMAHA Recording Customのヘッド選定にも深く関わった世界最高峰のスタジオドラマー。その繊細なサウンドへのこだわりはヘッド選びにも表れています。
- タム類(打面):コーテッド・アンバサダー
- バスドラム:パワーストローク3 コーテッド
- スネア(表面):コーテッド・アンバサダー
- スネア(裏面):ディプロマット ※クリア・アンバサダーとも使い比べ中
「ボトムにコーテッドとクリアのアンバサダーを試した。次はより薄いクリア・ディプロマットも試すつもりだ」──スティーヴ・ガッド
神保 彰
日本を代表するフュージョン・ドラマー。長年の愛用ヘッドを更新する瞬間もYAMAHAの試奏で捉えられています。
- タム類(従来):クリア・エンペラー(2プライ)
- タム類(新試用):ヴィンテージAコーテッド(コーテッドの2プライ)※試奏でコーテッドの感触が良く変更
- バスドラム:パワーストローク4 コーテッド
青山英樹
YAMAHAのデモンストレーターとしてヘッドの違いを実証検証している実力派ドラマー。
- タム類(デフォルト):コーテッド・アンバサダー
- バスドラム(デフォルト):パワーストローク3 コーテッド
- 比較検証で使用:ピンストライプ、クリア・エンペラー
メッシュヘッド ── 電子ドラム専用
電子ドラム(YAMAHA DTXシリーズ等)の打面に使われるのがメッシュヘッドです。
- REMO製の2プライメッシュが広く採用されている
- 高い反発力による心地よい演奏感
- チューニングキーでテンション(張り具合)を調整可能
- 生ドラムに近い打感を再現しつつ、消音性を確保
電子ドラムでの練習時の打感にこだわるなら、メッシュのテンション調整を試してみると良いでしょう。
ヘッドを選ぶときのポイント
1. まずスネアのヘッドから変えてみる
ヘッドによる音の変化を最も体感しやすいのはスネアドラムです。初めてヘッド交換に挑戦するなら、まずスネアの打面ヘッドから試してみましょう。コーテッド・アンバサダーが最初の1枚としておすすめです。
2. 表と裏で組み合わせる
プロは打面(表)と胴鳴り用(裏)を別のヘッドで組み合わせています。例えばスネアなら「表:コーテッド・アンバサダー、裏:ディプロマット」といった具合に、表裏の組み合わせで音を作り込んでいます。
3. バスドラムはパワーストローク3から
バスドラムのヘッド選びで迷ったら、まずパワーストローク3を試してみましょう。プロにも採用実績が豊富で、ミュートリング内蔵によってコントロールしやすいサウンドが得られます。
4. ヘッドが古くなったら音も変わる
ヘッドは消耗品です。定期的に叩いていると徐々に伸び・ヘタりが生じ、どれだけチューニングしても音がまとまらなくなってきます。「チューニングしても音が悪い」と感じたら、ヘッドの交換を検討しましょう。
まとめ
ドラムヘッドの選択は「どんな音を出したいか」を最短距離で実現する手段です。
| 求めるサウンド | おすすめヘッド |
|---|---|
| 温かく深みのある音 | コーテッド・アンバサダー |
| 明るくクリアな音 | クリア・アンバサダー |
| パワフルでアタック重視 | クリア・エンペラー |
| バスドラムをタイトに | パワーストローク3 |
| 短いサステインで締まった音 | ピンストライプ |
| 電子ドラムの打感を調整 | メッシュヘッド |
まずはコーテッド・アンバサダーをスネアに張ってみるところから始めてみてください。DrumNaviでは引き続き、機材選びに役立つ情報をお届けします!
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この記事を書いた人
まさ
ドラムメーカーのマーケティングマネージャー。元V系インディーズバンドのドラマー&ドラム講師。 中小企業診断士として、ビジネスと音楽の両面からドラム・機材情報を発信しています。